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中秋の名月

ふと夜空を見上げると満月であった。

古代人は現代人より夜空を眺めることとが多かったのだらう。わが国の物語の元祖は『竹取物語』であり、美しいお姫様が月に帰っていく物語である。

世界最古の長編恋愛小説はわが国の『源氏物語』である。保田與重郎は『源氏物語』を≪大空をゆく夜毎の月読壮士のイメージにもとづくのである≫(『現代奇人伝』)としてゐる。わが国の古代信仰では太陽は女性で月は男性だった。『古事記』では月読命(つくよみのみこと)といふ男性の神様であり、『万葉集』では月読壮士(つくよみをのこ)と詠まれてゐる。

王朝時代の恋は男性が女性のもとに通った。男性は夜に現れて日の出前には帰ってしまふ。男性が現れるその時間は月が出る時間とほぼ重なってゐたのだらう。月を恋人と重ね合はせたのである。

この感覚は現代でも変はってゐないといふことを、僕は絢香の「三日月」を聞いて確信した。現代女性も王朝女流作家と同じやうに月を眺めて恋人を想ふのである。

いつの時代も月は僕らを魅了する。

こころ

ある勉強会に向かふ途中、小石川の辺りで一緒に向かってゐた日本大学の助教が、「この辺りは『こころ』の舞台です」と言った。確か先生とKが下宿して、御嬢さんとの物語を展開するのが小石川だった。

僕が夏目漱石の『こころ』に触れた最初は、高校3年生の現代国語の時間だったと思ふ。と、ここまで書いてこの記憶に自信がなくなってきた。それは『こころ』の授業を受けたと記憶してゐる先生は高3の現国の先生の顔だが、授業を受けた風景は教室の一番前か前から二番目の右側の席といふ記憶だからだ。現国の僕の席は一番左の後ろの席だった。10年以上も前なので記憶が曖昧なのは仕方がないとして、ともかく学生のころに授業で読んだのである。
しかし、この授業で全文を読んだわけではない。教科書に載ってある抜粋部分だけである。その部分は、たしか先生とKが御嬢さんを巡る物語で、Kが自殺するところまでだった。

だから授業のなかでは、明治天皇の崩御も乃木大将の殉死にも触れられることはなかった。ただただ、御嬢さんを巡る先生の裏切り的行為によりKが自殺したといふ話だと思った。だからこのときは、『こころ』と「近代」との関係など全く気付かず、また授業でも当然それに触れることはなかった。しかしそれでも学校の授業で取り上げる内容としてはショッキングだったことは深く記憶に残ってゐる。

突然、授業で習った『こころ』を読みたくなり、文庫本を買ひに行って読んだのは24歳だっただらうか。そこで学校の授業には出てこなかった明治天皇の崩御と乃木大将の殉死が書かれてゐることを知り、やっと先生の自決に「明治の精神」といふテーマを持ってゐることがわかったのである。

勉強会に向かふ途中の助教の言葉でまた久しぶりに『こころ』を読んでみようと思った。

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